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吃音とは
測量・調査部 井上


吃音を知っていますか?
吃音(吃音症・どもり)とは、医学的には「言語の流暢性の障害」といい、発達障害の1つです。僕は小さいころから吃音と共に生活をしてきました。
吃音は小さい子供に多く表れます。小さなお子さんがおられる家庭も多いと思いますので、少し紹介したいと思います。
 
吃音の症状
吃音は「どもり」が症状です。「どもり」と聞くと「ここここんにちは」のように音を繰り返すことを想像しますが、それ以外にも症状があります。

連発(繰り返し)「ここここんにちは」
伸発(引き伸ばし)「おーはよう」
難発(ブロック)「……こんばんは」

上の3つの症状のうち、1つ以上が頻繁にあるようなら吃音の可能性が高いです。
 
いつ頃から吃音になるのか
 吃音は2~4歳の子供に多く発症すると言われています。10~20人に1人くらいの割合で発症しますが、そのうちの7~8割は、子供の言葉の能力が発達する中で自然に治ると言われます。ですが、残りの2~3割は症状が残り、日常生活に影響が出ることもあるので、年齢や症状によってサポートが必要になってきます。
 
 成人の吃音の方は100人に1人くらいの割合だそうです。学校だと、1学年に1人くらいの割合です。
 実際に僕が体験したことですが、小学校に上がる時、学年が上がる時といった環境が変化するときに吃音が出てくることが多いです。
 
※吃音は、親の育て方やかかわり方が原因で発症することはありません。発症の原因には遺伝が7割を占め、子供がどもりやすい特徴をもともと持っていることがほとんどです。

吃音は治るのか
 吃音症の7~8割は自然に治りますが、残りの2~3割は治すのが難しいと言われます。そもそも吃音にはこれといった治療法が確立されていません。吃音は当人の心理的な部分が大きいからです。なので、症状の緩和という形でトレーニングを行います。
 吃音の症状には波がありますので、緩和してもトレーニングを続ける必要があります。
 緩和のトレーニングも大切ですが、家族や周りの人の関わり方でとても改善することがあります。
 
吃音の人との関わり方
 吃音の人にとって、身近に理解者がいることがとても支えになります。
吃音を治すという観点からばかりではなく、吃音がある状態でよりよく生活できるようなサポートも必要です。
 お子さんに吃音の症状が出ていたら以下のことをしてあげてください。
 
ゆったり聴く。ゆっくり話しかける。
 →本人がゆっくり話すことで、吃音がでにくくなることがあります。聴いている人がゆっくり話すことで、話し方を促してあげてください。
  「ゆっくり話しなさい」「落ち着いて」などは×。言葉が出ないだけで、話したいことは鮮明に頭にあります。逆に焦らせてしまうので言わないこと。
 
質問の数を減らす(こちらから尋ねるのではなく、本人の話に耳を傾ける)
 →「どうして?」「どんなふうに?」などの質問は子供にとって答えるのが難しいです。本人が考えて発言するのを聴いてあげるのがいいと思います。
 
「話を聴いている」「時間は十分」というメッセージを伝える。
 →目を合わせたり、頷いたりすることで、聴いていることを伝えてあげましょう。
  話し方ではなく、話の内容の方に耳を傾けてあげるといいと思います。
 
吃音のことには触れない方がいいと言われることもありますが、子供が言いづらさを訴えてきたときに、大人が聞き流したり、見て見ぬふりをすることは、子供に「わかってもらえない」という風な孤独感を感じさせることになりますので、しっかり耳を傾けてあげてください。

最後に
 吃音について少し紹介しました。
 吃音の人が、どもりながらも楽に話せる環境を作ることが大切だと思います。
 吃音のある本人や、周囲の人が「吃音=悪いもの」と捉えることなく、理解ある生活を送れることを目指します。
エッセイ
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