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地球の温暖化(2)

 温暖化の具体的な影響については前回(ずいぶん前になりましたね)少し述べましたが、ここでまとめておきましょう。

基本的には、言うまでもなく気温の上昇です。'01に発表されたIPCCの第3次報告では、20世紀中に地球の平均地上気温は約0.6±0.2℃上昇し、1990年〜2100年に1.4〜5.8℃上がると予測していますし、'04の日本の地球シミュレーター(スーパーコンピューター)による予測でも世界全体の平均気温は2071〜2100年で平均した全地球平均の気温は1971〜2000年の平均に比較して3.0℃〜4.0℃上昇するとしています。この温暖化の程度は海洋上よりも陸地、南半球よりも北半球のほうが大きく、また、南北ともに極地方の温暖化の程度がもっとも大きく、続いて北米やアジアで大きいと予測されています。日本への影響については環境省による「地球温暖化の日本への影響2001」では南日本で+4℃、北日本で+5℃と予測されており、上記の地球シミュレーターによる予測では+4.5℃程度、夏(6,7,8月)の日平均気温は+4.2℃、日最高気温も+4.4℃、真夏日数は平均で約70日程度増加して現在の2倍以上になるとなっています。これがどれほど大変なことであるかお分かりでしょうか。十年一昔でもう忘れられつつあるかもしれませんが、平成6(1994)年は戦後における我が国最大クラスの大干ばつの年でした。夏の暑さも異常で最高気温が38℃を超える日々が続き、39℃を超えた地域も多かったのですが、気象庁のデータによればこの年の平均気温は平年より僅か0.82℃高かっただけです。また、1900年以来の最高温度の年は昨年('04)で+1.01℃でした。この年の暑さの影響がどれほどのものだったかはこれまた前回述べたとおりです。そして、米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙研究所は今年('05)の世界の平均気温が観測史上最高になる可能性があるとの見通しを明らかにしています。僅か1℃の上昇でこうですから、4〜5℃も上がればどんなことになるか想像もつきませんね。参考のために示しますと、縄文時代直前のウルム氷河期は−4〜−5℃程度といわれますし、天明・天保の大飢饉やヨーロッパの凶作・魔女狩りがあった17〜19世紀の小氷河期は僅か−1℃でした。

温暖化の具体的な影響としては、それぞれ互いに関連しているのですが、敢えて主なものを挙げれば次のようなものが考えられます。

第1は気候変動の振幅が大きくなり、局地的な干ばつ、洪水、熱波、なだれ、台風等の異常気象現象が増えることです。気象が荒れるのです。例えば、上記のように最高気温が上昇して熱波が増えます。このことによって昨年フランスで起こったような高齢層や都市の貧困層における死亡の危険性が増し、冷房のための電力需要の増大による大規模停電(ブラックアウト)の危険性が増す等のリスクが増大します。また、干ばつが特に中緯度の大陸内陸部で増えるでしょう。特にサヘルと呼ばれるエチオピアやスーダンをも含めたサハラ砂漠南縁の地域は、飢餓ベルトとも称される干ばつの常襲地帯で、砂漠化の進行や飢餓の拡大が心配されます。また、ヨーロッパ西部では今年も熱波と大干ばつが予想されています。さらに、インドネシアで見られたような大森林火災のリスクも増大します。ただでさえ破壊・減少が進んでいる森林がさらに消滅することの危険性は計り知れないものがあります。また渇水が進行します。あとで触れますが日本も水不足の国ですぐに給水が制限される国ですから、この影響は大きいでしょう。それから集中豪雨の頻度が増加します。今年も既に中国やブラジル等で大洪水が発生していますし、昨年の兵庫や新潟での大洪水も記憶に新しいところです。さらに、台風やハリケーン・サイクロンの強度も増すことが予想されています。昨年の台風の多さや強さ、アメリカを襲った超巨大ハリケーン等を見てもこれが既に起こりつつある現象であることが実感されるのではないでしょうか。
 

第2は海面の上昇です。上記のIPCC報告は、海面は既に20世紀中に10〜20cm上昇しており、1990〜2100には9〜88cm上昇すると予測しています。これは、主に水温の上昇による海水の膨張と陸氷(氷河や南極大陸等の氷床・棚氷)の融解によるものです。ヒマラヤの氷河は既に年間10〜15mの割合で後退しており、数十年後には氷河を水源とする川の流量が低下して数億人が飲み水不足に陥ると警告('05 世界自然保護基金 WWF)されていますし、氷河湖の決壊による大洪水が危惧されています。また、2050にはスイス・アルプスの氷河の75%が消滅するとの予測も発表('04 EU)されました。地上で最大の陸氷を持つ南極大陸では棚氷(氷床の末端)の崩壊が急速に進み('02にはロス海の棚氷から四国ほどもある巨大氷山が分離しました)、そのせいで氷河の流れが速まっています('04 NASAジエット研究所及び南極の諸研究所)し、グリーンランドの氷床が溶け始めており('00 NASA)、カナダ北部のエルズミア島にある北極圏最大のワードハント氷床も二つに割れて崩壊し始めている('03 カナダ・ラバル大と米・アラスカ大)そうですから、海面は今後確実に上昇するでしょう。有名なレスター・ブラウン氏が所長を務めるアースポリシー研究所のワールドウォッチニュース('02)は海面が1mm上昇すると海岸線が平均1.5m後退することを指摘しており、インド洋のモルジブ、南太平洋のフィジー・パラオ・バヌアツ・ツバル等の島嶼国では既に国土の水没や縮小、地下水(飲料水等)の塩水化等に脅脅かされつつあります。さらにベトナム・バングラデッシュ・エジプト・ナイジェリア等で多くの河口デルタ地帯が水没し、方法によって違いはありますが1億人を越す難民が発生すると推定されています。日本近海での最近の予想上昇量はまだ発表されていませんが、上記の地球シミュレーターによる予想では、ゼロメートル地帯への影響として、30cmの上昇で面積が13%(人口は12%)増加し、1mでは87%(同75%)増加します。さらに満潮時で見るとそれぞれ38%(26%)、172%(105%)と大幅に増加するとされていますし、高潮や津波による氾濫危険区域は1mの海面上昇で42%増加します。なお、最近の調査で南極大陸西側の氷床が必ずしも安定した状態にはないことが分かりました。もしこれが全部崩壊すると海面は5mも上昇するそうです。そうならないことを祈るしかありませんね。

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